昔から私は明るくて元気で、とにかく楽しいことが大好きだった。

スポーツも好きだし、絵を描いたりも好きで、案外なんでも満遍なくこなせていた。

まぁ、勉強がそれに伴わないのが残念なところだったけど。

憧れは『中条あやみ』ちゃんで、あんなふうになりたいと髪を伸ばした。

今は腰を超えるほどの超ロング、ストレートのブラウンヘアが自慢。

いつからか男女問わず、学校問わず、周りから「美人」とか「かわいい」とか言われるようになった。

チア部に入部して大会に参加出来るようになり始めると、その現象は加速した。

「美人」とか「かわいい」とか、その言葉が自分に自信を持たせ、人の目に触れることも、自分を表現することも楽しくなっていった。

とくに将来何になりたいとか、そういう思いはなくて、ただ今が楽しくて充実していればよかった。

その場として選んだのがチアリーディング部だった。



そして起こってしまった事故――――。

相貌失認という障害を負ってしまった。


それから私は変わった。

人の前に出るのが怖い……。

人の視線が怖い……。

目が合うのが怖い……。

以前のように誰とでもコミュニケーションなんてとれない。

昔の自分と今の自分、そのギャップが大きすぎて身動きがとれなくなっていた。