先生と合流し、乗り換えのホームで電車を待っていた。
「あ、いけね。園に電話することあったんだ」
「幼稚園?」
「ああ。ちょっと電話してくる。待ってて」
「うん」
先生は少し離れた自動販売機の横で、周りの邪魔にならないよう、こっそりと電話をしている。
電車の到着時刻を確認しようと、電光掲示板を見上げると、突然、私の目の前に人が立った。
「?」
「羽田 美月さん」
「え……」
目の前で名前を呼ばれ、ドキッとした。
「えっと……誰でしたっけ?」
私はその人をちゃんと確認せず、そう聞いてしまっていた。
「まだ、そんなこと言うのか……」
「え……」
「なんでいつも、僕を知らないフリするんだ!」
突然大声で叫ぶと、私の腕を掴んだ。
「きゃあ!」
私の叫び声に、ベンチに座っていた人たちや、近くにいた人たちが驚き声を上げ逃げ出した。
「美月!」
「先生!」
あの男だ……あのお祭りの夜の……あの時の男……!
「おまえ誰だ!?」
先生は私の腕を掴み、引き寄せた。