「けど、もう彼いるんだ」
「へ!?」
唯ちゃんの言葉にビックリして変な声を出してしまった。
「だ……誰に!?」
私は慌てて聞き直す。
「香代だよ、香代」
私の慌てっぷりに唯ちゃんは笑いながら答えた。
「やけになってるのかもしれないけど、彼氏と毎日楽しそうにしてるよ」
「そっか……」
それなら、良かった……。
「やっぱり誰もが敵わないなぁって思うんだよ」
「え?」
「美月ちゃんのその美しさがあって、そして一人の人をそこまで想う。そんなの見せられたら、誰も美月ちゃんには敵わないって思っちゃうよね。その一途さ、尊敬しちゃうよ」
「……」
唯ちゃんの言葉に、私は唖然とした。
そんなこと今まで言われたことなかった……。
「相貌失認って色々調べたんだ。そんな大変な思いを美月ちゃんはしてたんだって思って……」
「唯ちゃん……」
「大変だと思うけど、美月ちゃんのその美しさと強い想いで、ずっとお兄ちゃんと生きてほしいなって」
唯ちゃん……。
「ありがとう」
そんな言葉……嬉しくて嬉しくて、ちょっと泣きそうになった。