「!?」

電車の座席に座っていた私の目の前に、赤く輝くものがチラチラと動いていた。

私はその見覚えのあるものに気付き、顔を上げた。


「久しぶり。アタシわかる?」

「もちろん、唯ちゃんでしょ?」


私の障害を知っていて、気付くように教えてくれた特徴のある真っ赤なビジューのスマホリング。

唯ちゃんのものだと、しっかり覚えていた。


「隣、座ってもいい?」

「うん」

「なんだか色々と大変だったね……。うちの学校でも美月ちゃんのことすごいウワサになってた」

「……うん」

「うちのお母さんのことも……ごめんね……」


見ると、唯ちゃんは申し訳なさそうにうつむいた。


「ううん、ぜんぜん。当然のことだと思うから」

「ありがとう」


ずっと聞きたいことがあった。

でもそれは誰にも聞けずに……。


「……香代ちゃんはどうしてる?」

「うん、元気だよ」

「そっか」

「まぁ……まだお兄ちゃんのこと、あきらめられないみたいだけど」

「……」


そうだよね……そんなの当然だよね……。