以前、先生が教えてくれたオリオンとアルテミスの恋物語を思い出した。
美男で力も強い狩人オリオンに一目惚れした、女神アルテミス。
たちまち二人は恋に落ちたけど、アルテミスの兄である太陽の神アポロンは、処女神であるアルテミスと、人間の血を引くオリオンの恋を許さなかった。
アポロンは幾度となくアルテミスを説き伏せようとしたが、アルテミスは耳をかさない。
兄アポロンはアルテミスへ言った。「人間などに恋をした、狩の腕も落ちただろう。今のおまえにあの小さな標的を射落とすことはできまい!」
狩の女神でもあるアルテミスは、アポロンの言葉に腹を立て、勢いよく矢を放った。
アルテミスが狙った獲物を逃すはずはなく、その小さな獲物を射落とした。
だが翌日、アルテミスの矢に居抜かれたオリオンの姿があった。
自分の愛する人を殺してしまったアルテミスの悲しみは例えようもなく、それを見ていた神々の王ゼウスはオリオンを天に上げ、星座にしたという。
それ以来アルテミスは、銀色の月の馬車に乗り、愛するオリオンに逢うため、夜空を巡っている。