『その楽観的な言い方……昔の美月みたい』
「えーそう?」
エー子の言葉は正直、嬉しかった。
私はずっと昔の自分に戻りたかった。
ただ楽しければそれでいい、自分がやりたいことを、めーいっぱいやる! なんの躊躇も見せない強い私だった。
だからずっと、『前の私』『前の私』って言い続けていたし、元気に輝いていた自分に戻りたかった。
でも今、相貌失認になって思う自分の弱さ、他人の気持ち。
人のことを考えられる自分。
大切な人を思える自分。
すべてが新しい自分になって、その中でまた『昔の美月』そう言われるのは、最高の褒め言葉だと思った。
「今まで言えないことを言って、障害のことをカミングアウトして、すっきりしたんだ。罪悪感が減った感じ」
『そっか』
「私レベルアップしてる?」
『してる、してる。最強になりつつある』
「あはは」
二人で話して、大笑いした。