「圭先生は私に会った時、私の障害の話を聞いて、『この世は君にとって生きにくいかもしれない』そう言ってくれた。初めて私の気持ちを理解してくれる人が見つかった」


圭先生が、震える私の手をギュッと握った。


「相貌失認だと話しても『大変だね』の一言で理解してくれる人はいなかったし、むしろそれが原因で離れて行く人だっていた」

思い返すと悔しくて、悔しくて、止まらない涙がどんどん溢れる。

「ましてやそれが圭先生と同じ教師なのに『おまえ自身が頑張らないと自分が困るんだぞ』って言われたこともあった。すごく悔しかった……頑張って人の顔が分かるなら、初めから頑張ってる! 大人は子供を傷つけて自分の都合ばかりでものを言う!」


私の話で、再びざわざわとし始める校長室。


「障害を負ってから人の反応や人の言葉一つ一つがすごく怖くなった。たくさん誤解をされても、嫌な思いをしても、障害が原因で危ない目に遭っても、そこにいつも圭先生がいてくれた」


「……美月……」


再び先生の手が、私の手を強く握った。