「美月……」


先生が私の頬に触れた。

先生の悲しそうな目……。


「私と……出会わない方が、よかった?」

それを言葉にして、また涙が溢れた。


先生はゆっくりと頭を横に振った。


「……先生……」


そっと唇が重なる。


息がとまりそうなほど、深く……。



「……何もなかったことを、まるであったかのように言わせる大人たち……」


「……」


「じゃあ、本当にあったことにしようか?」


「……先生……」







その日は雲一つない夜空で、明るい星たちが瞬いていた。

先生の部屋には大きな天窓があって、ライトを消すと星々が何かを伝えるように輝いて見えた。



先生と触れあった時の、あの痺れるような痛みは、いつしか体の熱さに変わり、次第に心地よくなっていくように思えた。



先生に触れられると、息が止まるような激しい胸の鼓動。


血が巡るような感覚。


体中が覚醒されていく……。


愛おしくて、


愛おしくて……。



でもなぜか、切なくて、切なくて……。


何度も何度も、先生の腕にしがみついた。