「そうか……お母さんがPTAに……」

「うん……ごめんなさい、先生……」

「美月が謝ることじゃないよ。急に何が起こったんだって驚いたけど」

「うん……」


私と先生は展望台のベンチに座り話していた。

「そもそもは、うちの母親がまいた種だから。何十年も前のこととは言っても、美月のご両親にしたら嫌だと思うよ」

「だけど! だけど……私たちのことは関係ない。どうして大人は自分の都合のいいことばっかりで、それを私たちに押し付けようとするの!?」

「子供のためと思うんだろう。オレもそれが嫌で家を飛び出したんだし、幼稚園の後継ぎの話も拒んできた」

「先生……」

「子供のためと思っても、結果自分のいいようにするためとオレも思ってしまったから、ずっと母親をよく思えなかった」

「うん……学校でもまるで脅迫するような言い方で……。先生との関係を認めないと、先生は教師をクビになるって……」


思い出すと悔しくて、また涙が出そうになった。

本当のことを言っても、ウソを言っても、大人の都合次第で結果は変えられてしまう。

そんなこと、あっていいわけない……。