電車を降り夢中で歩いた。
スマホの時計を見ると22時を回っていて、家々の窓から灯りも少なく、心細くなるほどの街灯を頼りに、私は歩き続けていた。
目的地へ向かう細い道。
数少ない街灯に怖さを覚えるよりも、無心で曲がりくねる坂道を進んだ。
まるで誰かに背中を押されているように、自分の意志よりももっと早く、息を切らし前へ前へと進んでいく。
急な螺旋階段を駆け上がると、頭上に美しい星たちが見えた。
突然起こった強い風を思い切り吸い込み、からだ全体に感じた。
そっと目を開けると、暗闇に輝く星たちに包まれるように、圭先生が立っていた。
「……せん……せ……い」
「美月……」
胸がドクンと鳴った。
"やっと逢えた"
そんな言葉がどこからか聞こえるようだった。
「美月どうして……」
私は思い切り先生に抱き着いた。
あのビリッとした痛みが体中に走った。
「美月……」
そして、ゆっくり、ゆっくりと触れた体が熱くなっていく━━━━。