ボトン!


二人の会話に、私は持っていたペットボトルを床に落とした。

開けようとしていたフタが飛び、お茶が床に流れ広がった。

その中に私は呆然と立ち尽くす。

手が麻痺したように、カタカタと震えた。




「美月!」

「美月、聞いて!」

お母さんは驚いたように私に近づいた。


お母さんがPTAに連絡していたなんて……。

こんなこと……娘が苦しむことを知って、こんなことを……。



「美月……」

「触らないでよ!」


お母さんが肩に置いた手を私は力強く払った。



「美月……」

「自分が何をしたか、わかってる!? 私が校長室に呼ばれ、どんなに嫌な思いをしたか……」

「それは……美月がいけないんでしょう! お母さん、葉山先生のことは何度も何度も会わないでって言ったのに!」

「そんなのお母さんたちに何があったかなんて、私たちには関係ないじゃない!」

「美月! 葉山先生とじゃ絶対幸せになんてなれないわよ!」

「!?」


私は言葉を失った。


お母さんの言葉に、悔しくて、悔しくて……涙が溢れた。



「……自分が同じだったら……自分が同じことを言われたら、お母さんはお父さんをあきらめられていた?」

「え……」