放課後、部活へ急ぐエー子を見送った後、自分も帰ろうと下駄箱へ向かった。
「羽田! まだ居てよかった、ちょっといいか」
玄関の脇にある職員室から慌てるように出て来た先生に呼ばれ、その声や話し方で担任と分かった。
「ちょっと来てくれるか……」
「……」
また手伝いでもさせられるのかと、げんなりしていると、連れて行かれたのは校長室だった。
「失礼します」
担任がノックをし、そう言ってドアを開けると、正面に座った校長先生の姿と、ソファに座る数名の男女の姿があった。
「……」
ちょっと小太りの白髪、それが校長先生だというのはすぐに分かる。
両脇に二人ずつ座るその4人の大人たちが誰なのか、まったく分からなかった。
「今日集まっているのはPTAの会長とその役員の方たちだ」
「PTA……」
「今日PTAの方に突然、羽田のことで電話があったと、こうやって早急に足を運んでくださったんだが……」
「私のことで!?」
担任の話す言葉の意味がわからず、何度も聞き返した。
集まった大人たちの固く結ばれた口元を見て、険しい顔をしていることが理解出来た。
今まで感じたことがない重い空気に、ドキドキと緊張で鼓動が速くなった。