翌日━━━━。


結局、お父さんとお母さんとは一言も話さず、飛び出すように家を出た。

痛む足が昨日のことを思い出させ、ため息が漏れた。

部活の朝練で一緒に学校に行けないとエー子から朝一のLINEが届いていた。

本当は一人でいることも、一人で電車に乗ることも、怖い……。

またあの男がいるんじゃないかと思うと不安になった。

思い出そうと思っても、思い出せないあの男の顔……。

こんなんじゃ用心しようがないじゃない……と、自分が相貌失認だということを、ここへきて恨んだりする。


でも、学校を休んで家にいることも、今の私には苦痛で……。


いつもの時間の電車、今日は休み明けということもあるのか、早い時間の車内は激混みだった。

座席もいっぱいで、私は窓の方を向き立つと、いつものようにうつむいた。

やっぱり一人で乗る電車は今も不安になる……。

私はスマホを取り出すと、LINEのメッセージが届いていることに気付いた。


『おはよ』

「!」


それは圭先生からだった。

その一言が以前のようにドキドキとした思いを甦らせる。