「先生、ありがとう」
「……うん、また連絡する。もう不安にさせたりしないから」
繋いだ手がまたきつく握られた。
「うん」
「髪……短いのも似合うね」
「先生……」
その言葉が嬉しくて、嬉しくて……。
「ありがとう」
今までの恐怖も不安も飛んでなくなってしまうくらい……。
それでも繋いだ手を離すのが切なくて、いつまでも、いつまでも、一緒にいたいと思った。
怪我した足をかばいながら歩いたから、家までの距離もずいぶんかかってしまった。
玄関を開けると、そこにお父さんとお母さんが立っていた。
歪んだ眉、固く閉じられた口元。
二人が怒っていることが分かった。
「……ただいま」
遅くなったから怒ってるのかな……。
「エー子ちゃんと一緒っていうのはウソだったのね」
「え?」
「もう二度と葉山先生とは会わないでって言ったじゃない!」
「お母さんそんなに怒鳴らなくても……」
「あなた……」
お父さんはお母さんを止めると、ゆっくりと話し出した。
「美月……お母さんから葉山先生のお母さんのことを聞いたんだろ?」
「……」