私はとっさにうつむき、一歩二歩と下がり、エー子の後ろに隠れた。

「美月?」

「……」

以前の私はこんなんじゃなかった……人と話すことも、なんの躊躇もなかった。

それなのに今は……人と話すことが怖い……。

人と接点を持ってしまえば、次に会った時その人が誰だか分からなくなってしまう私は、相手に失礼なことをしてしまう……いつもそう思ってしまうのだ。


『初めまして』

『どこかでお会いしましたか?』

私のその一言が相手を傷つけてしまう……。

だから私は人の目を見るのが怖い。

話しかけられないよう、目を合わせない。

一人の時は、いつもうつむき歩く。