「離れろ!」


大きな声が聞こえると、目の前にいた男が壁に叩きつけられていた。


「お前誰だ!?」


「うるせぇ!」

叩きつけられた男はそう叫ぶと、そのまま顔を伏せるように走って行った。



「美月! 美月! 大丈夫か!?」

「……」


呆然とする私の肩を掴んだ。


「!」


ビリッとした静電気に似た、しびれるような痛み。

その痛みで我に返った。


「美月!?」