私は転げ落ちるようにステージを下りると、参道を思い切り走った。

両脇から伸びる手を払いのけながら、参道を駆け抜ける。


「あ……」

相変わらず履き慣れない下駄に躓き、脱ぎ捨てると再び走り出す。

この場所にいたくないという思いが強かった。

早く、早く、この場を去りたいという思いが私を焦らせた。


人の少ない場所まで走って来ると、息をつくように走るスピードを緩めた。


その時、曲がった路地へ引っ張り込まれた。


「大丈夫!?」


「!?」


腕を掴まれ、声をかけるその人を見た。

「……」

切れる息を、ゆっくり落ち着ける。

私と同じくらいの背、くるくるしたクセの髪……眼鏡……。

頭の中を駆け巡らせる。


「……誰?」