私は境内にある石段に座り空を見上げた。
背の高い木々たちの隙間から、たくさんの星が見えた。
秋祭りとはいっても、まだ残暑は厳しくて、浴衣姿でも汗をかいてしまいそうな感じがする。
それでも宇宙の星々は、秋の星座に移り変わって……。
今はどんな星が見えるんだろう……。
「……」
星を見ると圭先生を思い出す。
あれから先生からはなんの連絡もなくて……。
平気なフリをしていたけど、強がって自分からも何も連絡もしていなくて……。
でもやっぱり、先生のことを考えると胸が苦しくなる。
「はぁ……」
圭先生に会いたいなぁ……。
私のこの重い気持ちをよそに、境内ではあの"浴衣コンテスト"が始まったようで、大音量の音楽と司会者なのかマイクの声が響き渡っていた。
その時、突然腕を掴まれた。
「!」
「羽田さん、こっち来て!」
「えっ……」
私の腕を引き、走り出す。
明るいピンクの浴衣、私の目の前で揺れるミルクティー色の髪……。
「!」
それが香代ちゃんだということに気付いた時、私はにぎわうステージの上に連れて来られていた。
「では次が最後の方でーす! エントリーナンバー5、中央学園3年、羽田 美月ちゃんでーす!」
「!?」
私の名前がマイクから大きく聴こえた。
何のことだか頭が回らない。
その時……。