最近また、あの夢をよく見るようになった。

高い塔の上から落ちた時、何かがポキッと折れた気がした。

自分の必要とする何かが、無くなっていることに気付いた。

それは昔から探していたもの、何万年も、何億年も━━━。



「……」

以前よりもハッキリしてきた夢の内容に、目が覚めてから数分間ベッドの上で呆然とする。


まだ暑さの残る9月末。

怖い夢を見たこともあって、私は汗だくで目が覚めた。


高い塔の上から落ちる……あの恐怖はきっと、チアリーディングの練習中、トップに立った私が落ちた事故のことなんだと気付いた。

私が事故に遭ったのも、それが原因で相貌失認になったのも、"不運"とか"運が悪かった"それだけではなく、何か意味があったからなのかもしれない……。


何かが折れた、自分の必要とするもの……それは一体なんなのか……。

昔から探しているもの、何万年も何億年も――――。

それが見つかるまで、私はこの夢を永遠に見続けるのだろうか……。

いつまで事故に遭った恐怖を……相貌失認になった絶望感を抱えていくのだろうか……。