「お兄ちゃんにべったりというか、見張ってるというか……。それが学校でもなんだよね……」
「……」
見張ってる……。
さっきの電車での二人のことを思い出した。
「ちょっとビックリするくらい……その行動が過剰っていうかね……。妹の私が引くくらい……」
「そうなんだ……」
「お兄ちゃんもちょっと滅入ってる感じ。香代のこともそうだけど、うちお母さんも酷いからさ……」
「……」
「お母さんは根っからなんだよね。お兄ちゃんに幼稚園を継がせたいって願望があるから。願望じゃないな、あれは野望だな」
「野望……」
唯ちゃんの、本当に嫌そうな顔に私は笑った。
「うちのお兄ちゃん、昔っからそういう厄介な思いをさせられてるんだよねぇ。それが運命というか……」
「運命?」
「妹の私から見ても、もっと自由にさせてあげればいいのにって、かわいそうに思えちゃって……」
先生……。