「話だけじゃ分からないよね、人の顔が分からないなんて……」

「うん……。そんな大変なことになってるって、美月ちゃん見ただけじゃ分からないかな」

「あはは、そうだよね」

「あたしがウワサで聞いてた美月ちゃんのことは、美人でなんでも出来て、モテモテで、いろんな男の人とウワサがあって……」

「やっぱりそういうウワサが流れてるんだねぇ……。なんでそんななっちゃうんだろ……」


やっぱり現実ってそうなんだな……。

あることないことウワサされて、それは人を見た目だけで決めつけて……。


「まぁ、もうどうでもいいんだけどね……」

そんなウワサに振り回されることも、もう本当に面倒くさい……。

でも……。

「どうして私に話しかけてきたの?」

香代ちゃんに何か言われてるのかな……。


「うん、その相貌失認って聞いてビックリしたこともあるんだけど、お兄ちゃんが話すあなたのことと、香代が話すあなたのことと、話の内容があまりにも違って……」

「……」

「まぁ……今、香代もあなたの存在があって、色々必死というか焦ってるからなんでもするっていうか……」

「なんでもする?」


口ごもる唯ちゃんの言葉が気になった。