その車両にいた人たちが、私をじろじろと見ている。

その視線が息苦しくて……私は車両を替えるように前へ前へと歩いていく。

乗客のいない車両を見つけ、さらにその隅の座席へ座った。

各駅電車に揺られ、私は大きくため息をつき、深く深くうつむいた。


『羽田 美月』と声をかけられることに、鬱陶しいと感じた。

こんなふうに声をかけられること、美人だとか、可愛いとかそんなふうに言われること、私は望んでいるわけじゃないのに……。

「はぁ……」

私はまた、大きいため息をつく。



『オレは美月のこと本気で考えてるんだ』


先生……。


あの言葉を信じたかったのに……嬉しかったのに……。

溢れそうになる涙をぐっとこらえ、さらに深くうつむいた。