「母さん、自分が何を言ってるのかわかってるのか!?」

「そんなことわかってますよ! それに羽田 美月って、羽田(はねだ) 考徳(たかのり)さんの娘さんなんでしょ!?」

「え……どうして、お父さんの名前……」

「それがなんだよ」

「昔ちょっと知ってるのよ。お母さんのことも……」


お母さんのことも?

口ごもる副園長の様子が何かを隠しているように……それは、お母さんの態度も同じだった。


「だから余計に、美月さんとはそういう関係になってほしくないのよ」

「なんだよそれ!? この園と自分のことしか考えてないじゃないか! それが嫌でオレが幼稚園を継ぐことも辞めて、教師になったんだろ」


今まで見たこともない先生の怒った顔、そしてその言葉に副園長も黙り込んだ。