「お母さん、ちょっと出かけてくるねー」
「美月! どこ行くの!?」
「え……」
慌てた様子で玄関まで走ってくる母。
「エー子といつものファミレスだけど……」
「本当に!?」
「うん、なんで?」
「最近……よく葉山先生と会っているみたいだから……」
「……」
そのことが原因なのか……。
最近お母さんは、私の行動に対してうるさくなった。
「今日は違うけど……でも別に先生と会ったっていいじゃない」
「ダメよ!」
「……」
まただ……先生のことになると、お母さんはすぐムキになって、声を荒げたりする。
今までこんなことなかったのに……。
「なんでよ……お母さんなんか変だよ!? この間お父さんにも同じようなこと言われたし……」
「……」
「もう行くね!」
「美月!」
外へ出ようとする私の腕を、お母さんは力強く掴んだ。
「葉山先生と付き合うなんてことはやめて!」
「どうして!?」
「どうしてもよ!」
「!」
私は腕を掴むお母さんの手を、思い切り振り払った。
「私は理由を聞いてるの!」
「……」
うつむくお母さんを見て、私はそのまま何も言わず家を飛び出した。
なんなの!?
なんなのよ!
理由も言わないで、やめろなんて勝手過ぎる!
私は怒りに任せ駅までの道を全力で走った。