いつ頃からか、同じ夢を何度も見るようになった。

高い塔の上から落ちた時、何かがポキッと折れた気がした。

自分の必要とする何かが、無くなっていることに気付いた。

それは昔から探していたもの。

何万年も、何億年も、ずっと、ずっと探していた、自分の求めている何か――――。


届きそうで届かない、何度も何度も手を伸ばす。


どうして……どうして届かない――――。





「……」


久しぶりに見た夢に胸の苦しさを覚え、目が覚めた。

あの夢はいったい、なんなんだろう……。

私は何を探し求めているんだろう……。


暑く気怠い体……見ると弱めにかけた冷房がいつの間にか止まり、急いで窓を開けると、暑いながらも風が通り、涼しい空気を運んできた。

大きく深呼吸しスマホを手に取ると、エー子からのLINEが届いていた。

今日の部活がなくなったから、いつものファミレスで課題の続きをしようということだった。

時計を見るとお昼近くになっていて、エー子からのLINEから一時間以上も経っていた。

私は慌てて返信すると、急いでシャワーを浴び、身支度を整えた。