「あの事故からもう二年も経ってるのになぁ……。私は何も克服できてなくて、何も成長できてない」

頬杖をつき、私は遠くを見つめた。

涼しい店内、窓際の席、夏の青空はギラギラとすべてを照りつけて、まぶしくて目を閉じた。


「じゃあなんで、オレは平気なんだろうね?」

「え?」

「オレも男だよ?」


ドキン……。


真っすぐ私を見つめる、先生のその言葉にドキッとした。

「わからない……わからないけど、先生なら大丈夫なの」

私は先生を見つめ、そう返した。

私の言葉に先生の目が細まる。


本当に……本当にわからないんだ。

教師だからという安心感ではなくて、言葉にはできない何か。

それが先生への安心感を大きくしていた。


「でも、私が克服しなきゃいけないのは、それだけじゃないんだけどね……」

チアのこともだし、まだたくさんある……。


「焦らなくていいと思うよ。急いで変われるものではないと思う」

「……うん」

どこかで焦りを感じていたのは確かで……このまま高校を卒業して、今の私に何が出来るのか?と、いつも考えていた。

その度、何も出来ない自分に不安になってしまうんだ……。


だけど、先生の今の言葉にホッとした。