私たちは、その大水槽の前のソファに座った。
「天の川……今年の七夕は織姫と彦星は会えたのかな……」
「そうだな、ベガとアルタイル」
「ベガとアルタイル?」
「うん、ベガという恒星が織姫星。アルタイルという恒星は彦星って言われているんだ。織姫と彦星が天の川を渡るとき、どこからか現れる鳥が、ふたりのために橋をかけると言われている。それが、白鳥座のデネブ」
「二人のために橋を架けるのかぁ……素敵……」
「ベガ、アルタイル、デネブを結ぶ三角の直線は『夏の大三角』っていうんだ」
「へぇ、やっぱり星の話っておもしろい。昔からの物語りが今の時代にも生きてるってすごいね」
「そう考えると、何千年も、何万年もってすごいよな」
「うん」
私はまた大水槽を見上げた。
キラキラ光る水色がまぶしい……。