その時、ドサッと私の隣に座る人。

反射的に私はよけた。

ふわっと香る、ライムの香り。


「美月ごめん、遅くなって」


私が顔を上げると、先生はぷっと吹き出した。

先生が来ないこの不安と人混みの中、一人で待つ恐怖とで、いつの間にか顔がぐしゃぐしゃになるほど泣いていた。


「美月、ごめん!」

「……」

私は頭を横に振る。


「学校のことで急な連絡が入って……ちょっと遅れるってLINEしたんだけど……」

「え……」

スマホを見ると、確かに先生からのLINEがあった。

「ぜんぜん……きづかな……かった……」

私は持っていたハンカチで涙を拭きながら、ズズッと鼻を鳴らす。

「ぷっ……」

そしてまた、先生は笑った。