「美月あの人、星北高の先生らしいよ」
「先生!?」
「しーっ!」
私は驚きの声を上げると、混み合った車内の中でエー子は焦るように周りを見回した。
まさか先生だったなんて……だって、スーツ着てるからサラリーマンかと思ってた。
「星北高って、私たちの学校の二つ隣の駅の?」
「うん、そう」
あの人、いつも星沢駅で降りてたんだ……。
「葉山 圭って名前だって」
「えっ……そんなことまで調べたの!?」
スマホにメモしてあるのか、エー子はまるで探偵のようにその先生のことを話し始めた。
「26歳だって」
「……」
葉山 圭、26歳……。
「なによー、美月が知りたそうにしてたから調べたんじゃなーい」
「……べつに……」
私はエー子の言葉に、うつむいた。