「エー子はダメな奴じゃないよ。エー子が一番私を理解してくれてる」

「……美月」

見つめたエー子の目がウルウルと光っているのが分かった。

「ちょっと! こんなところで泣いたりしないでよっ」

「だってー美月が嬉しいこと言うからさー」

「もーウザッ」

「なによー」


こうやって笑い合えるのはエー子と……圭先生のおかげだよね。

私は作業をしながら、ふと圭先生の言葉を思い出した。


『人の顔が認識できても、コミュニケーションをとることが出来ない人間はたくさんいる。それも、とても生きにくいものなんだよ』


先生……。

先生もきっと、辛く苦しい思いをして生きてきたのかもしれない……。



七夕祭りの片付けが終わった頃「みつきおねえちゃん!」と、私を呼ぶ声が聞こえ、振り向いた。

その声がねねちゃんのものだということは、すぐにわかった。

「おねえちゃんたち、ありがとう」

ねねちゃんはそう言うと、私たちに折り紙で作ったお花と、似顔絵をプレゼントしてくれた。

「ありがとう!」

「ありがとう」


私たちは、ねねちゃんの前にしゃがんだ。

「ねねちゃん昨日はごめんね……」

「ううん。おねえちゃん、ねねをみつけてくれて、ありがとう」

「ねねちゃん……」