「ごめんな……」

夜も遅くなり、送ってくれている先生からの言葉だった。


「どうして先生が謝るの?」

「……勝手にオレが話してしまったから、美月に辛い思いさせてしまって……」

「ううん、そんなことない。副園長の言葉は正しいと思う。それが責任を持って仕事をするってことなんだと思った」

「美月……」

「短期のバイトだからって、ちゃんと自分の障害のことを話しておかなかった私がいけないんだし」

「……」

「だけど……やっぱりちょっとでも、分かってもらいたかったっていうのが本音」

「美月……」

「相貌失認なんです。人の顔が認識出来ないんです。そう話してもすぐにピンとくる人なんて、いるわけないのは分かってる。ただ……ただ……」


いつの間にか言葉が続かなくなって……。


「……」

先生が私を抱きしめると同時に、ピリッとまたあの痛みが体に走った。


先生……。


「"努力してないわけじゃない"それを分かってほしい」


「――――っ……」



涙が溢れた……。



「っ……」

今まで言いたかったこと、分かってほしかったこと、それを先生は分かってくれていた――――。