20時になる頃には外の片付けも済んで、七夕祭りもお開きになっていた。
笹と短冊は園児のお土産として配られ、枝が少なくなった笹がなんだか淋しく見える。
私は園長室に呼ばれていた。
その理由はもちろん、ねねちゃんのこと。
園長室には、園長先生と副園長、そして小島先生が居た。
「ご両親は、ねねちゃんが見つかったことだけで感謝の言葉を言ってくださいました。ですが……」
「……」
副園長はうつむき話し出した。
「こんなことは園始まって以来のことです。子供たちを危ない目に遭わせるなんて、あってはいけないことです」
「……すみませんでした」
「子供たちから目を離すなんて、安心して子供たちを託される親御さんたちを裏切るようなものです」
「……」
コンコン
話の途中でドアがノックされた。
「失礼します」
そう言って入って来たのは、圭先生だった。
「圭……今、大切な話をしているのよ」
「……」
先生はそのまま私の横に立つと、
「羽田さんは、人の顔が認識できないという障害を持っているんだ」
「先生!」
「ごめん。これはしっかり話しておかないといけないと思って」
「……」
先生……。