ねねちゃんは怪我も何もなく、両親の元へ戻った。

トイレから出たねねちゃんは、外の両親の元へ戻ろうとしたとき、園の外にいる猫を見つけ追いかけたのだという。

その猫を追いかけ、追いかけ、あの空き地の中へ入ってしまったということだった。

「ねねのウサギさん!」

お父さんに抱っこされたまま、私へ手を伸ばすねねちゃん。

「そのウサギさんが好きで、ずっと持ち歩いているんです」

お母さんがそう言った。


「ねねちゃん、ありがとう」

私はその名札をねねちゃんに手渡した。

このウサギが、ねねちゃんを守ってくれたのかな……。


「美月! よかったね」

「うん……エー子ごめんね。ありがとう」

「とんでもないよ! そんなことより美月ボロボロじゃない」

見ると、手足もゆかたも泥だらけで真っ黒になっていた。

「早く着替えた方がいいよ」

「うん……」


見回すと、落ち着きを取り戻した園内は、再び七夕祭りを楽しむ人たちで賑わい始めていた。