「じゃあ、私とトイレ行こうか」
「うん!」
ねねちゃんは大きく返事をすると、ギュッと手を繋いだ。
いつもは先生たちも多く居てにぎやかな園内も、今日は外でのイベントがメインで、室内には人がぜんぜんいなかった。
外のにぎやかさに比べ室内は静かで、廊下の奥にあるトイレは子供が一人で行くにはちょっと暗くて怖い場所なのかもしれない。
「一人で行ける? おねえちゃん、ここで待ってるね」
「うん」
トイレの前まで来ると、私は入口の前で待つことにした。
「……」
私はあの香代ちゃんの鋭い目を思い出していた。
あの様子だと、私が先生を好きだということはバレているんだろうな……。
でも唯ちゃんの態度がいつもフレンドリーで、明るく声をかけてくれるから、唯ちゃんは香代ちゃんが先生を好きなこととか、私のことの話は聞いてないのかな?
不思議に思うことを、私は考え巡らせていた。