午後、七夕祭りが始まると、園児の家族や近所の人たちがたくさん集まり出した。
毎日、顔を合わせていた園児たちも、両親や兄弟たちと一緒に来ていた。
「……」
うーん……今日はみんな、おめかししているなぁ……。
女の子は浴衣を着たり、男の子は甚平を着たり、とても可愛いカッコをしている。
そのかわり、今日は一切名札が付いていない。
名札がないと、一人一人が分からなくて困ってしまう……。
私とエー子は、時々先生たちの手伝いをしながら、屋台を見たりのんびりと過ごしていた。
「美月、短冊書いた?」
「え、まだだけど」
「アタシ書いて来たんだー。もう飾ってきちゃったー」
「エー子早いねー」
「美月も飾ってきなよ。願い事決まってるんでしょ?」
「うん、まぁね」
私の願い事は……私のことを分かってくれる人と出会うこと。
それが先生であってほしいと、そう思った。
まだ何も書いてない短冊を持って、私は玄関の横に飾ってある大きな笹の前に来た。
「……ぷっ……」
よく見える位置に『チアリーディングでトップに立つ!』そう書いてある短冊をみつけ、それがエー子のものだとすぐに分かった。
エー子ってば……。
人の恋愛心配するより、自分こそ恋でもしろっつーの。
本当にエー子らしい。