「あーいたいた!」
ビクン!
その大きな声に我に返る。
その声の方を見ると、明るいピンクの浴衣を着た女の子が二人。
「ねー、お母さんどこ行った? 電話してるんだけど出ないんだよねー」
見ると手には真っ赤なビジューのスマホリング。
そして赤い花が鮮やかなピンクの浴衣。
それを見て、先生の妹の唯ちゃんだと分かった。
そして隣には……あの香代って子が、相変わらず鋭い目で私を見ていた。
「……」
「えー! 羽田さん!? すっごいキレイ! 大人っぽーい!」
唯ちゃんが私を見つけ、そう叫ぶように言った。
「美月ー! こっち手伝ってー!」
タイミングよくエー子から声がかかり、「はーい」と私はその場を後にする。
あの子の視線の強さが、息苦しくさせる……。
怖いとさえ思った。
私は立ち止まると、心を落ち着けるよう大きく深呼吸した。