当日、エー子と幼稚園に向かうと、もうすでに屋台のセッティングは万端で、園児の父兄さんが汗だくで頑張っているのが見えた。
ちょっと出遅れた感に焦りながらエー子と私が事務室に着くと、小島先生から手渡されたのは"浴衣"だった。
「え……ゆかた着るんですか?」
私とエー子は驚いたように聞いた。
「全員じゃないんだけどね。ここ連日遅くまで準備してもらったりだったから、今日はお手伝いしてもらいながら、まぁゆっくりとお祭りも楽しんでもらえたらって、副園長が」
「え……でも……」
まだまだ、お手伝いすることもあると思うのに……ゆかたなんて着せてもらっちゃっていいのかな……。
「いいのよ。お祭りに花を咲かせてもらいたいっていうのもあるんだから。若い二人が着てくれたら、とても素敵だと思うしね」
「えーいいんですかー? ゆかたなんて嬉しいなー」
「エー子……」
エー子のコロッと変わる能天気な言葉に驚くわ……。
「向こうの部屋で着付けてくれるから行って来て」
「はーい」
エー子は嬉しそうに飛び跳ねた。
「……」
まったくもう……。