「明日はいよいよ、七夕の飾り付けだねー。父母の人たちも来て出店の準備をするらしいよー。楽しみだよねー」
「うん……」
「お祭りってなんでこうドキドキするのかねぇ」
「……」
「美月?」
「えっ……」
「もー大丈夫!?」
「うん……」
後片付けでちょっと遅くなった今日は、帰りの電車を降りると外は真っ暗になっていた。
いつの間にか梅雨明けしていたようで、いきなり暑さが増したこの連日。
見上げると、夜空の星も綺麗に輝いていた。
「はぁ……」
「すごいため息ー。さっきのあの香代って子のこと?」
「……うん」
「すごい睨んでたよねー。あんなふうな女を見るの久しぶりだわ。相当、美月にヤキモチ妬いてたんだろうね。嫉妬丸出しって感じ」
「……」
「あ、でも、ぜんぜん相手にもなんないよ。美月の方が美人だし」
「エー子……」
エー子はいつも、そうやって私を元気付けようとしてくれる。
こんなふうな女子からの妬みみたいなものは、前からあった。
彼を奪ったとか言いがかりもあったし、そんなことを言われても前の私にはなんのダメージにもならなかった。
でも、なんでそんなことになってしまうのか……と、さすがに心も傷ついた。
その度エー子はこうやって私を励ましてくれる。
なんでこうも妬みの対象になるのか……。
『美人だ』とか『可愛い』とか言われても、今の私には分からないんだよ……。
自分の顔がどんな顔なのかさえ、分からないんだから━━━━。