「豪腕のオリオンを簡単に殺せてしまうサソリって恐ろしいだろ」
「う……うん」
先生は玄関で話している副園長と妹の唯ちゃんを、くいくいと指さした。
「あの二人そっくり」
「え?」
「うちの女二人はさそり座だけあって、恐ろしく怖いんだ」
「……ぷっ……」
先生の話に私は吹き出した。
「先生、星座にかけて上手いこと言ったつもりでしょ」
「あれ、そう思わなかった?」
「あははは」
さそり座……真っ赤な星、アンタレスか……。
先生の星の話は本当におもしろくて。
こんなふうに教えてくれる先生なら、授業も楽しいだろうなって思う。
私も……先生と同じ学校がよかったな……。
でも、もしそうだったら先生は、私とこんなに話してくれなかったかもしれないな。
見ると、まだ話している副園長と妹の唯ちゃんの隣から、こちらをずっと見ている香代という子の姿が見えた。
「……」
彼女が先生と同じ学校で……幼馴染で……。
そう考えたら、チクッと胸が痛んだ。