香代(かよ)どうするー? もう終わっちゃったみたいだから、帰ろうか」

「……うん」

妹と話しをしていても、私から目を逸らさない。


「なに、なんかすごいガン飛ばしてない?」

コソコソとエー子が言う。

「……」

鋭い視線から、私のことが気に入らないんだろうということは、すぐに分かる。

ああいう目をして私を見る女の子は、たいていが男絡みだったりする。

そんな嫌な経験は、幾度となくしてきたから……。



「幼馴染なんだ」

「え?」

私たちの後ろに立っていた先生がそう言った。


幼馴染……。


「妹の唯と香代は同い年で……あ、渡良瀬(わたらせ) 香代(かよ)っていうんだけど。小さい頃から一緒なんだ」

だから『圭ちゃん』って……。

「香代は高校生になったら、いきなりド派手になって……」

「先生、親みたいな言い方ですねー」

エー子が笑って言った。

「そんなもんだよ。自分の職業柄っていうのもあるけど、親みたいな感覚かもな」


「……」

「……」

私とエー子は顔を見合わせた。


"親みたいな感覚"か……。

先生の言葉にホッとしている自分がいた。