(ゆい)なによ、今頃来て! もっと早く手伝いに来なさいって言ったじゃない」

「えー、来れるかわからないって言っといたでしょー」

副園長と話す女の子、その口ぶり……。

(ゆい)って……。



「妹なんだ」

「え……」

茶色いストレートの髪、目は先生に似て大きく見えた。


「あ、なんだ今年もバイトさん居るんじゃない。だったら私が手伝いに来なくてもいいじゃんよー」

そう言いながら近寄ってくる。

妹という子の手にはスマホが握られ、真っ赤なビジューで作られたスマホリングが目に飛び込んで来た。

赤いワンピースに、真っ赤なスマホリング……。

赤好きなんだ……。

その印象が脳裏に焼き付いた。



「え……うそ……羽田 美月じゃない?」

「唯、羽田さんのこと知ってるの?」

「羽田 美月って言ったら、中央学園で超可愛い子がいるって、すごいウワサの子なんだよー」


副園長と妹の唯ちゃんが話す内容に、みんなが一斉にこちらを見た。


「……」

気まずい……。


「羽田さん、よろしくー。初めて生で見たけど、ホント可愛い!」

そう言って私に声をかけて来た。

「あ……よろしく……」



「なんだよ、こんな時間に来て手伝う気ないだろー」

「そんなことないよー。こっちだって用があるんだから。夏休みの課題だってあるんだしー」

先生と妹の唯ちゃんが話をしていると、エー子が私のエプロンをくいくいと引っ張った。