「あ、先生、今の時季に低いところにある赤い星はなんていうの?」
「今の時季にある赤い星? 低いところ……。ああ! アンタレスかな」
「アンタレス?」
「アンタレスって星は、さそり座の心臓の星なんだ。でも、よく見えたな」
「昨日見たの。赤く光っていたから珍しいなーと思って」
「そうなんだよ。アンタレスは低いところにある星だから、高い建物や山があったりすると見えないんだよ」
「そうなんだー! じゃあ私ラッキーだったんだ」
「うわぁ、それは本当にうらやましいなぁ」
「あはは」
本当に悔しそうな先生の様子に笑っちゃう。
星の話になると、先生はすごい夢中になる。
そこまで好きなものに出会えるって、私の方がうらやましいって思っちゃうけどな。
「あーもう終わっちゃったかー! 片付けてるー」
突然の大きな声にビックリして振り向くと、玄関から二人の女性が入って来た。
「げ……アイツら来た……」
「え?」
先生が小さく嫌そうな声を漏らした。
デニムのタイトなスカート、もう一人も赤いミニのワンピースを着ている。
一瞬見た感じからも若い女の子だということは、すぐに分かった。