後日行った検査で、私は相貌失認(そうぼうしつにん)ではないかと言われた。

高次脳機能をつかさどる部位の脳障害。

人間の顔を認識・識別する脳の側頭葉、後頭葉に編成する「顔領域」というものが理由により損傷し、人の顔の認識が困難となる。


チアリーディングの練習中に落下した時、頭を強く打ったことが原因だろうということだった……。

出血も酷く、輸血も必要なほど大変な状態だったということだから、間違いなくそれが原因なのだろう……。


医師から話を聞いた時のその絶望感……。

話を聞いていた両親の動揺。

泣き出す母親。

私のために涙を流すこの人たちが、私の父と母で……二人がどんな顔をしていたのかも……思い出せない。

目や口や鼻や……顔のパーツはわかる。

その人が笑っているのか、泣いているのか、それぐらいなら認識出来る。

でも、顔全体として、その顔が誰の顔であるか、それがわからなくなってしまっていた……。