「えー美月、すごい人気ー」

一仕事終えたエー子が私の隣に座った。

「美月は昔から絵が得意だったもんねー」

「うん」

こんなちょっとしたことで、子供たちが喜んでくれるなんて嬉しいなぁ。

大急ぎでみんなのリクエストの動物を作り、一人一人のバッジの中へ入れてあげると、みんなが飛び跳ねながら喜びを表現してくれる。


その時、部屋の隅にあるピアノが鳴った。

そしてピアノの周りに集まった子供たちが、カエルの合唱を歌いだした。


その輪の中、ピアノを弾いていたのは━━━━。



「圭先生……」


「すごーい、葉山先生ピアノ弾けるんだー」

隣に座っていたエー子が言った。


「……」


先生……。


子供たちに囲まれ、笑顔でピアノを弾く先生の姿。

その表情が離れたここからでもハッキリと分かった。


先生の顔が……分かる……。


優しくピアノを弾く先生を、私はずっと見つめた。