「うわぁー、みつきおねえちゃん、おえかきじょうずー」
ねねちゃんは、私の描いた絵をギュッと抱きしめながら言った。
「うさぎさん、かわいいー」
「ありがとう」
「ねね、このうさぎさんほしいー」
「このウサギさん?」
お絵かき帳にクレヨンでざざっと描いた、簡単なウサギ。
これを欲しいって言われてもなぁ……。
「あ、そうだ!」
私はお絵かき帳に新たに小さなウサギを描くと、それをハサミで切り取った。
そして、ねねちゃんの胸元にあるチューリップの形をしたバッジの中に、小さなウサギを入れた。
「わあ! ねねのなまえのところに、うさぎさんきてくれたー!」
ねねちゃんはそのバッジを見ながら、ぴょんぴょんと跳ねるように喜んだ。
「フフッ」
名前のところにウサギさんが来てくれた……か。
小さい子ってなんて表現が可愛いんだろう。
「わー、ねねちゃんいいなー!」
「ねねちゃんのおなまえ、かわいいー」
ねねちゃんの喜ぶ様子を見て、女の子たちが集まって来た。
「おねえちゃん、わたしのもつくってー」
「わたしのもー」
ウサギさんだけじゃなく、鳥さんや猫さんやクマさんや、たくさんの動物のリクエストが続いた。