「これは、どこ置くのー!?」
外からのその声に、ドキンと反応する。
笹を抱え、圭先生が入って来た。
先生━━━━。
今日は薄いブルーのTシャツに、細身のジーンズ。
私服が替わっても、先生の低い声ですぐに分かる。
会った瞬間、先生の顔は分からなくても、幾度も合う瞳にドキドキと心臓が音を立てるのがわかった。
そして、そっと私の隣に来て、「おつかれさま」と小さく声をかけてくれる。
周りに気づかれないように……というか、その感覚がちょっとくすぐったく感じた。
「ねーねー、みつきおねえちゃん」
見ると、くいくいとエプロンの裾を引っ張る、ねねちゃんの姿があった。
「ねねちゃん」
私はねねちゃんの前にしゃがみ込むと、「昨日はごめんね」と謝った。
ねねちゃんは頭を大きく横に振ると、「ううん、はなちゃんと、なかなおりしたんだー」と嬉しそうに笑った。
「ねぇ、おねえちゃん、いっしょにおえかきしよー」
目の前にスケッチブックを出され、戸惑う。
昨日のこともあるし、子供たちとは接しない方がいいのかな……。
キョロキョロと見回すと、ポンと肩をたたかれた。
「大丈夫、お絵かきしてあげて」
そこに立っていた小島先生がそう言った。
「はい!」