「ご……ごめん、美月ちゃん……これはちょっとヒド過ぎよ」
笑いをこらえながら先生が言う。
「えーどうしたんですかー。楽しそうー」
たくさんの備品を抱え、事務室を覗き込んだエー子。
「エー子ちゃん、エー子ちゃんこれ見て」
私の作った織姫と彦星を見せた。
「ぶーーーーッ! 何この彦星ー! ほっぺの赤いのまるで酔っ払いじゃない」
「えーそうかなぁ、可愛いと思ったのにー」
私が「エー子」と呼ぶから、いつの間にか先生たちも「エー子ちゃん」になっていたり、昨日の私の失敗も何も気にしていないように笑顔で接してくれたり、それが嬉しかった。
今日は会合だと園長先生は不在で、途中から姿が見えなかった副園長先生が、「笹を持って来ましたよー」と、玄関から大きな声が聞こえた。
「うわぁ……」
見ると室内には入りきらないほどの大きな笹と、小さな笹が幾本も置いてあった。