「大丈夫だって!」

ドン!とエー子は思い切り私の肩を叩いた。

「本格的に幼稚園の仕事をするわけじゃない。明日はもっとお祭りの準備に力を入れなきゃって小島先生も言ってたし、裏方の仕事をメインにやらしてもらおうよ」

「うん……」


あんな情けない姿、圭先生に見られなくてよかった……。


駅に着きエー子と別れると、私は家へ帰る道をいつもより遠回りした。

久しぶりに一日晴れていた今日は、空がとっても綺麗に見えていた。


「先生に会いたいな……」

ボソッとつぶやく。


本当はあの展望台まで行って気分転換したいと思った。

でも……。


「はあぁ……」

何度目になるのか分からないくらい大きなため息をつく。

今は展望台まで行ける気力もなかった。

こんな私を見たら、またお母さんは心配するだろうし、バイトを辞めろって言うだろう……。

少し気持ちを落ち着けるために遠回りしてみたけど……。

私はこれからもこうやって生きていくのかな……。

人は一人じゃ生きられない。

何をするにも人との繋がりはあって、生きていくにはそれが大切なことで……。

周りの人に支えられて生きてる。

それなのに私は、そんな人たちの顔もまともに見ることが出来ないなんて……。

考えれば考えるほど、うつむけばうつむくほど、どん底に落ちていく気がして、私は無理やり空を見上げた。



薄暗くなり始めた夜空に星が見えた。

あの低いところにある赤い星なんだろう……。

星を見ると、さらに先生に会いたくなって


「先生に会いたい」


輝き出したばかりの星々に願いを込めた。