「今日はビックリしたよ」
「あーバイトのことでしょ? 私もビックリした」
「知っていたんじゃなくて?」
私は思い切り、頭を振った。
「ぜんっぜん! エー子だけ知ってたの! 幼稚園の短期のバイトで、七夕祭りのお手伝いだからって。それなら私にも出来るかなって思って」
「そっか、毎年この時期はバイト募集してるんだよ」
「そうなんだ。毎年のことなんだね」
「母親がああいうこと好きでさ」
「お祭り?」
「そうそう、地域密着ってやつ? 子供たちもその親にも楽しんでもらいたいって」
「へー素敵な副園長先生だね」
「……」
私の言葉に先生は無言になった。
「……先生は、嫌だった?」
「え?」
「私が先生のところの幼稚園でバイトするって」
「嫌じゃないけど、心配かな」
「そっか……」
『何が心配?』って聞こうと思って、やめた。
これ以上お母さんのことは話したくないかなって思って……。