駅に着くと雨は上がっていて、雲間からお日様が顔を出し始めていた。

駅から歩いてすぐ、5分もかからない好立地に幼稚園は建っていた。


「……リーフ幼稚園……」

二階建ての大きな外観。

外壁は淡い緑色に塗られ、リーフというだけあって葉っぱの色を表しているのか、入口には大きな葉っぱのモニュメントが建っていた。


「美月、行こう」

「……うん」

「大丈夫?」

「……うん、うん」

私は何度もうなずく。


初めてのことや、初めて会う人などは特別緊張する。

この感覚も相貌失認になってからだ。

それまでの自分が、どれだけ無感覚だったかと驚いてしまう。



幼稚園の玄関を入ると、一人の小さな女性が「こんにちは」と声をかけてくれた。

その後に続くように、数名の先生らしき女性が出てきた。

みんな可愛い葉っぱの柄の緑のエプロンを着けている。

ありがたいことに胸には『○○せんせい』と書かれた手作りバッジが付いていた。

これで、先生たちを間違うことはないと、一安心する。